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引っ越してから、日曜の度に古本屋に出かけるようになった。
大股で歩いて片道二十分の距離にあるので
暇つぶし、運動不足解消、趣味発掘と一石三鳥。
安く買い叩いた本棚の裏板が早くも湾曲し始めていることを除けば、
非常に充実した時間を過ごしている。
買うのは大体漫画ばかりだが、例外的に
嶽本野ばらさんの小説/エッセイは随時チェックする。
見かけて、もし持っていない本ならパラ読み、即レジへ持っていく。

最初に野ばらさんの本を読んだのは高校生、『下妻物語』がきっかけだった。
TVCMなどで話題だと聞き、ゴスロリなんだー、ヘー位の軽い気持ちで読んだ。
すると、一ページ目で好きになった。

文章に一目惚れとか意味不明、と自分でも思うが、本当に惚れたのだから仕方がない。
「何てカワイイ文章だろうか!」と、心から ときめいた。
感覚的な部分を言葉で説明するのは難しいが、テンポがよく楽しげで、
しかし時折、切々と語りかけてくるような文面に私は弱い。

小説に登場する人物達は一人残らず何らかの洋服ブランドに拘りを持っていて、
定期的にショップへ寄っては騎士の甲冑の如く着用、堂々と生きている。
彼女らは見た目の美しさではなく衣装が生み出す精神性に重きを置いており、
他人にどう言われ、捉えられようと変わらぬ“己”を確立している。
時として妙にエロかったり、オチの八割がバッドエンドだったりするのは
そんな自我の強さのせいではないかと思う。

やりたいことをやっていく、好きなものをひたすら愛す。
結果的に爆死しようと、別に他人のせいにはしない。
話によって多少のバラつきは見られるが、一定してそんな潔さがあるので好きだ。
とはいえ私は、作品全てを肯定するほど熱狂的なファンではない。
貴族的感覚を持ち、享楽的に生き、青春を謳歌する姿に何度か首を傾げたりもする。

己で決めたルールに縛られて困っていたり、極端に感情的になったり、
明日をもしれぬ身となっても根本的には“余裕”が感じられる。
これこそゴスロリ!ロココ調!と拍手喝采するべきところだが、
私はモヤシの値段に一喜一憂し、事あるごとにゲスい勘繰りをする俗物であるので
たまに宇宙人の話を読んでいる気がしてくる。

おそらく「ブランドなど知らん!良いデザインならしまむらでも古着でも構わん!」
と叫ぶような貧乏人にはない感覚なのだろう。
この間、知り合いにも「他人が着た服着るなんて絶対無理」と壮大にディスられたところだ。
友達ヅラをする友達がいなくて困る。

そんな、理解しがたい感覚と知りつつ ついつい読んで目をウルウルさせてしまうのは
人生のレールから多少ズレた、その筋の人間に対する圧倒的な吸引力を持っているからだと思う。
確かな“己”を持ったキャラクター達は、友や愛を求めこそすれ
他人に自分の嗜好を強烈に押し付けるような真似はしない。
肯定も否定もなく、ただ落ち着いて佇む姿に少し憧れ、そして惹かれて止まない。



ハッピーエンドじゃないと嫌だ!暗い話なんて気が滅入ってくる!
と仰る方には勧められないが、一癖ある世界観が好きな方は是非。
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